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福岡高等裁判所 昭和32年(ネ)940号 判決

大分市大字大分二五七八番地

控訴人

吉島産業株式会社

右代表者代表取締役

吉島佐吉

被控訴人

右代表者法務大臣

唐沢俊樹

右指定代理人検事

船津敏

法務事務官 元永文雄

法務事務官 林正治

大蔵事務官 小雲幸男

右当事者間の昭和三二年(ネ)第九四〇号不当徴収税金返還請求控訴事件について当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実並に理由

控訴代表者は「原判決を取消す、被控訴人は控訴人に対し金一五三、二三四円及びこれに対する昭和三〇年七月二一日以降完済まで年五分の割合による金員を支払え、訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする」との判決を求め、被控訴代理人は主文と同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上の陳述並に証拠の提出認否は控訴代表者において、原判決には控訴人が乙第二、第五号証を除くその余の乙各号証の成立を認めた旨の記載があるが右は誤記であつて、控訴人は乙第一、第四、第六号証はいずれも控訴会社の決算申告書であるので成立を認めたが、その余の乙各号証はいずれも不知と答えたのであると述べた外、原判決事実摘示(但し原判決三枚目裏五行目に「昭和三十一年三月二十八日」とある部分は誤記と認められるので削除する)と同一であるのでこれを引用する。

よつて案ずるに当裁判所は原判決の示すところと同一理由により、本件法人税課税処分並に滞納処分が無効であるとなす控訴人の主張はいずれも理由がなく、従つて右処分の無効を前提とする控訴人の本訴請求は失当であると判断するので、右原判決理由(昭和三十二年十二月十九日附更正決定を含む)をここに引用する。控訴人は原判決挙示の乙第七、第九、第一一、第一二号証はいずれも不知と答えた旨主張するけれども、原審口頭弁論調書によれば控訴人が右各証の成立を認めたことは明らかであつて、控訴人の右主張は認められないのみならず、仮に控訴人が右各証の成立を争つたとしても、右書証はいずれもその方式及び趣旨に徴し公務員が職務上作成したものと認められるから、他に反証のない本件においては各真正に成立した公文書であると認むべきであり、右各証によれば原判決認定の事実を肯認するに十分である。よつて原判決は相当であつて本件控訴は理由がないので民事訴訟法第三八四条第九五条第八九条を適用し主文のとおり判決する。

(裁判長判事 竹下利之右衛門 判事 小西信三 判事 岩永金次郎)

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